手数料の説明/fees👆
手数料令は、「法律行為に関する証書作成の手数料」「法律行為でない事実に関する証書作成の手数料」「認証に関する手数料」及び「その他の手数料」について、詳しい規定を置いており、計算の方式として、目的の価額により算定する方式、必要とした時間により算定する方式及び証書等の枚数により算定する方式を使い分けています 。
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法律行為に関する基本的な手数料
契約や法律行為に係る証書作成の手数料は、原則として、その目的価額により定められています(手数料令9条)。
目的価額というのは、その行為によって得られる一方の利益、相手からみれば、その行為により負担する不利益ないし義務を金銭で評価したものです。目的価額は、公証人が証書の作成に着手した時を基準として算定します。
- 100万円以下 5000円
- 100万円を超え200万円以下 7000円
- 200万円を超え500万円以下 11000円
- 500万円を超え1000万円以下 17000円
- 1000万円を超え3000万円以下 23000円
- 3000万円を超え5000万円以下 29000円
- 5000万円を超え1億円以下 43000円
- 1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
- 3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
- 10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額
- 贈与契約のように、当事者の一方だけが義務を負う場合は、その価額が目的価額になりますが、交換契約のように、双方が義務を負う場合は、双方が負担する価額の合計額が目的価額となります。
- 数個の法律行為が1通の証書に記載されている場合には、それぞれの法律行為ごとに、別々に手数料を計算し、その合計額がその証書の手数料になります。
- 法律行為に主従の関係があるとき、例えば、金銭の貸借契約とその保証契約が同一証書に記載されるときは、従たる法律行為である保証契約は、計算の対象には含まれません(手数料令23条)。
- 任意後見契約のように、目的価額を算定することができないときは、例外的な場合を除いて、500万円とみなされます(手数料令16条)。
- 証書の枚数による手数料の加算 法律行為に係る証書の作成についての手数料については、証書の枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算されます(手数料令25条)。
遺言公正証書
●遺言公正証書の作成手数料は、遺言により相続させ又は遺贈する財産の価額を目的価額として計算します。遺言は、相続人・受遺者ごとに別個の法律行為になります。
数人に対する贈与契約が1通の公正証書に記載された場合と同じ扱いです。したがって、各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。
例えば、総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は、上記の基本的計算方式により、4万3000円です(なお、下記のように遺言加算があります。)が、妻に6000万円、長男に4000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は4万3000円、長男の手数料は2万9000円となり、その合計額は7万2000円となります。
ただし、手数料令19条は、遺言加算という特別の手数料を定めており、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円までの場合は、1万1000円を加算すると規定しているので、7万2000円に1万1000円を加算した8万3000円が手数料となります。
次に祭祀の主宰者の指定は、相続又は遺贈とは別個の法律行為であり、かつ、目的価格が算定できないので、その手数料は1万1000円です。
遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合には、公証人が出張して遺言公正証書を作成しますが、この場合の手数料は、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となり、これに、遺言加算手数料を加えます。
この他に、旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1万円)が必要になります。
下記の正本、謄本作成交付料も加算されます。
作成された遺言公正証書の原本は、公証人が保管しますが、保管のための手数料は不要です。
任意後見契約
任意後見契約公正証書の手数料は、1契約につき1万1000円、それに証書の枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算されます。報酬の定めがある場合でも、契約の性質上、目的価額は算定不能となるので、手数料令16条により1万1000円になります。
病院等に出張して任意後見契約公正証書を作成した場合には、遺言公正証書の場合と同様に、病床執務加算、日当、旅費が加算されます。更に、任意後見契約は登記が必要であり、1契約ごとに、公証人が登記の嘱託をすることになっています。このための登記嘱託手数料は、1400円(手数料令39条の2)ですが、ほかに収入印紙代2600円が必要です。
金銭消費貸借、債務弁済
民法587条の金銭消費貸借契約は、貸主が金銭を貸し渡し、借主が借入金の返済を約束することによって成立する契約ですから、借入金額が目的価額になります。
従たる契約である利息は、目的価額に含まれません(手数料令15条)。
債務弁済契約は、既に存在している金銭債務の支払方法を定める契約で、金銭消費貸借と同じく、支払金額のみが目的価額になります。
保証意思宣明公正証書
保証意思宣明公正証書は、目的物の算定が不能として1万1000円となりますが、これに原本、正本の証書作成手数料が加算されますので、正本1通(4枚以内)を作成して、お渡しするのには1万2000円となります。
金融機関によって謄本1通を提出する必要がある場合には、謄本1通(4枚以内)の作成手数料1000円も加算されます。
A4用紙が5枚以上になる場合には、1枚につき250円(謄本の場合も同様)が加算されます。
離婚、養育費支払など
協議離婚の届出に際して約定した慰謝料・財産分与の取り決め又は未成年の子の養育料の支払を公正証書にする場合は、慰謝料・財産分与と養育料とを別個の法律行為として扱い、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。
ただし、養育料の支払は、賃料と同じく定期給付に当たるため、支払期間が長期にわたる場合でも、10年分の金額のみが目的価額になります。 年金分割の合意をする場合には、別途1万1000円と謄本費用が加算されます。
公証人送達や執行文の付与をする場合には、その手数料も加算されます。
一部の自治体では、養育費支払の公正証書作成費用の援助を行っています(練馬区、杉並区、武蔵野市、三鷹市、小金井市、清瀬市など)
自治体(市、区)によって異なり、要件や必要書類、援助費用の上限設定もありますので、お住まいの自治体にお問い合わせください(※当役場では問合せいただいてもお答えはできません)。
また、東京都内の町村(注 市区は除かれています)に住所を持つ「ひとり親等」には、都が養育費の取決めや取得に要する経費の一部を助成する「東京都養育費確保支援事業」を実施しています。公正証書による債務名義の作成も支援対象とされていますので、支援を受ける予定の方は、事前に要件や必要書類などを確認してください。https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/hitorioya_shien/youikuhikakuho.html
※役場では、手数料受領の領収書等は発行できますが、夫婦のどちらが負担したか、ということまでの証明はできません(お金に色はついていません)。費用負担を明確にしたいのであれば、作成する公正証書内で取り決めをするなど事前に準備をお願いします。
その他
⚪︎確定日付の付与
1通につき700円(手数料令37条)
⚪︎執行文の付与
手数料は1700円。ただし、事実到来執行文や承継執行文等については、当該手数料に1700円加算(手数料令38条)
⚪︎正本・謄本の送達
1400円(手数料令39条1項)
⚪︎送達証明
250円(手数料令39条3項)
⚪︎正本・謄本の交付
1枚につき250円(手数料令40条)
⚪︎閲覧
証書・定款の原本及びその附属書類の閲覧手数料は、1回につき200円(手数料令41条)
○中止の場合
公証人が証書の作成等に着手した後、嘱託人の請求または嘱託人その他の列席者の責めに帰すべき事由により、これを完了できないときは、それまでの所要時間に従い、1時間当たり1万1000円をお支払いいただくことになります(手数料令33条)